[ニュース新書] 10/3 「加藤の乱」助演男優賞 谷垣禎一
去年の自民党総裁選の時には、総裁選直前の回に候補者5人が同時にゲスト出演していたのに。下野した後の総裁選は、結果が出た後で新総裁だけが単独で出演。下野するとはこういうことさ。
誰もが予想した通り、3人の候補者の中で最も年長、温和で知られる谷垣禎一氏が自民党総裁に選ばれた。
谷垣氏が語られる時には必ず掘り返される過去の出来事。それは「加藤の乱」のクライマックスシーン。(「加藤の乱」についての過去ログはこちら)
2000年の森政権時代。「宏池会」領袖の加藤紘一、加藤の盟友で「近未来政治研究会」領袖の山崎拓は、それぞれが派閥の会員達を従えて内閣不信任案に賛成することで、自民党内の抜本的な改革を進めようとした。
しかし、野中広務幹事長の徹底した切り崩しに合い、加藤らに同調していた議員達の大部分は怖じ気づいた。最後まで加藤らについて来た議員はごくわずかで、不信任案が可決される見込みは全く無くなった。
敗北を悟った加藤、山崎は、引っ込みがつかなくなったのか、それとも自分が起こした行動の始末をつける覚悟を決めたのか、自分達二人だけで決議に出席、賛成票を投じようとした。その時、議場へと向かう加藤氏の腕を掴み、泣きじゃくりながら引き留めたのが「情の人」谷垣禎一。
「加藤さん、あんたが大将なんだから!」
特攻で玉砕するなんて、将たる者のとるべき行動ではない。「忠臣」谷垣が腕を引っ張った力は悲しいほどに弱々しかったが、その必至の諫言が加藤の足を縛りつけた。
加藤は、不信任案賛成を決意した時よりも強い覚悟で、生き恥を晒す決意を固めなければならなかった。自分の為ではなく、谷垣を守る為に。
踏み止まった加藤と、加藤の腕にすがった谷垣、それをただ見守る山崎。三人とも岩のように動かなかないままで、ただ止めどなく、目から涙が流れ落ちていった。その一部始終がテレビカメラを通じて全国に流れていた。
やがて加藤は言った。
「ここは、名誉ある撤退をしようと…。」
事実上の敗北宣言であった。
この「加藤の乱」、主人公の加藤紘一、山崎拓両氏ははっきり言って大根役者だったが、目に見えぬ不気味な恐ろしさを感じさせてくれた敵役の野中広務氏、しっとりとした哀愁美を演出した谷垣禎一氏という、脇役二人の演技が際立っていた。
「加藤、山崎の泣き顔は汚かったが、谷垣の涙には熟年の色気があった。」
などというちょっと妖しげな評価を下す男性もいたほどだ。
そんな谷垣氏が率いる、「解党的出直し」の自民党。果たしてどうなるのか。
※ 谷垣氏が総裁となった今、インターネット上のあちこちで、「あんたが大将」発言を引用し激励するメッセージを見かけるようになった。
(例) 「谷垣さん、あんたが大将なんだから!一人で捨て石なんて駄目ですよ!」
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